2016.03.02
改修工事中の寒川のお寺の庫裡(くり)は順調に工事が進んでいます(*^-^*)
前回来た時には無かった和室の敷居が入っていました。
鴨居は、元々あったものを使うことにしています。
敷居や鴨居も今は既製品が多いですが、この敷居は開口部に合わせてカットし、溝を掘って現場で加工したもの。
大工さんとその話をしていると、
「こっちはシシチで、向こうのはサンシチやからの」と。
敷居や鴨居の溝幅を表す建築用語です。
シシチとは「四七(ししち)=中樋端(なかひばた)4分(12ミリ)で溝幅7分(21ミリ)に掘られた溝」を言い、障子を入れる際に一般的な敷居と鴨居の溝寸法。
サンシチとは「三七(さんしち)=中樋端(なかひばた)3分(9ミリ)で溝幅7分(21ミリ)に掘られた溝」を言い、こちらは襖を入れる際に一般的な寸法です。
*中樋端(なかひばた)とは、建具を入れる際に溝と溝の真ん中にある凸部を指す名称です。
因みに、四七は、主に関東方面の慣習だそうで、関西では五六(ごろく)の慣習があるそうです。
香川は、関東・関西の慣習が部位ごとに織り交ざって独自の建築慣習がありますが、鴨居・敷居は関東の寸法を習っているんですね☆
棟梁の話だと、「襖は正式には三六(さんろく)の溝と聞いたことがある」と仰ってました。
「ずいぶん前に聞いた話やから、正確かどうか分からんで」と言っていましたが、そうやって現場で聞いた話や技術から大工さんの知識や技術が継承されてきたんだろうなと感じました。
大工棟梁は床板を一枚一枚入れながら「進んどん見た目で分かるか?」と聞きます。
「だいぶ進みましたよ」と返すと「ほうかぁ⁈ ここまで出来たけんの、あとこれ張ったら、アレして・・・」と、
その間にも柱周りに合わせる床板を図ったり、切ったりカンナで削ったりしながら手を休めません。
伝統構法で建てられた庫裡なので、一つ一つの作業に手間も時間もかかります。
でも、棟梁は「こんな立派な建物、なかなかしたいゆうても出来んでのぉ~」「手間かかるでえ~」と言いながら嬉しそうです。
現場の職人さんから教えてもらったことを書き残すことで、私も継承の一端を担えたら嬉しいです☆